晩夏、一人で新幹線と在来線を乗り継いで広島まで行きました。もともと一人で日帰りのプチ旅をするのが好きな性格なので、時間が比較的ある大学生の今のうちに、行きたいところへ行こうと思っていました。広島に行く理由は様々ありますが、まずは何といっても、原爆ドームと平和記念公園を見ることでした。そういった「負の歴史」を見て、改めて戦争について学びたいと思いました。あとは厳島神社に行ったり、呉の海上自衛隊基地に停泊している護衛艦を見たり、大和ミュージアムに行ったり、東京から岡山まで寝台特急に乗ることなどの目的がありました。

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原爆ドームと平和記念公園の資料館は良い勉強になりました。映像で見る原爆ドームとは違い、外壁の黒ずみや傷などの細かいところまで確認でき、「生々しさ」がありました。資料館では戦時中の生活用品や写真の展示はもちろん、来場者がアクセス可能なコンピューターからは戦没者一人一人のデータが閲覧でき、負の歴史を最新の技術を使って後世に残そうとする画期的な取り組みだと思いました。

また、戦争体験者やその遺族の方へのインタビュー映像がスクリーンで流れており、愛する者を失った人、被爆し今後の人生を大きく変えられてしまった人の体験談を聞いていると、自然と涙が滲みます。改めて、戦争というものを市民の視点から学ぶことができました。平和記念公園周辺には外国からの観光客の方も多く見られ、この広島が世界平和の源泉になり得るのだろうと思いました。

広島へ行く時に、幼少期からずっと乗りたいと思っていた寝台特急に乗ることができました。B寝台個室は想像よりも狭く、荷物の置き場所に困り、寝るときに足を曲げなければなりませんでしたが、しかし念願の寝台特急に乗っていることの嬉しさとワクワク感が変わることはなく、3時間ほどしか寝られず、寝不足気味で岡山駅のホームに降り立った時も、「もう一度乗りたいな」と強く思いました。

呉では友人の勧めで、とある個人経営の小さなお好み焼き屋へ足を運びました。店内はロックミュージックのレコードのジャケットが壁一面に飾られており、強面マスターの趣味が店内を飾っています。お好み焼き屋のマスターは目を病んでいました。明日視力が無くなるかもしれない不安を抱えながら、社会に恩返しするためにお好み焼きを振舞う毎日を送っているのだそうです。

お好み焼きはユニークなバリエーションが多く、おいしく、かつ安いです。マスターいわく、利益を確保するつもりはないらしく、それよりも沢山の人の腹を満たし、ここに訪れてほしいのだといいます。マスターは話し上手で、人生経験が豊富で、色々とアドバイスを貰って会話を楽しむうちに、日が暮れてしまいました。彼と別れる時、生まれて初めて母親以外の人とハグをしました。

厳島神社に行ったのですが、到着したのがちょうど干潮時だったためか、本来は海であるはずの神社の底部が干上がっており、そこに流れ着いた大量のゴミが目立っていました。映像で見るような美しさはなく、ただ「汚い」という印象しかなかったというのが正直なところでした。

また、宮島の観光道路上には至る所にシカの糞や観光客の食べ残しが転がっており、不衛生で嫌な気分になってしまいました。神社周辺の宮島中心部では、道幅が狭いわりに通る人が多く、人混みが嫌いな人に取っては地獄に他なりません。そのような理由で、この時期に厳島神社に行ったのは大きな失敗でした。

呉に足を延ばしたのは大和ミュージアムに行くのが主な理由でしたが、行ったのが火曜日だったので大和ミュージアムはちょうど休館日でした。一般の旅行客は比較的少ない日といえど、私のような長期休暇中の大学生や外国人観光客からの需要もあるわけですから、どうか休館日は無くしてもらいたいです。実際、私の後から来た若い二人組の女性たちも残念がっていました。